Saturday, May 10, 2014

住友重機械工業

長いことブログのアップをしていなかったわけだが、別に急がし過ぎたわけではない。ただ忘れていただけだ。最後のエントリーは住友重機械工業の面談の話だったようだ。最終的に俺の就職活動がどうなったのかをまずは報告しようと思う。

結果から言うと俺は住友重機械で日本での第一歩を始めることにした。最終的にデンソー、安川電機、そして住友重機械からオファーがきた。デンソーは基礎研究所で、安川は北九州にある小倉の研究所、住友は横須賀にある技術研究所と、どれもR&D職でのオファーだったので申し分なかった。この3社はとても親切にしてくれ、冬休みをとって日本に一時帰国した際に(去年の12月)研究所の見学の機会を与えてくれた。

デンソーは、まず本社のカフェテリアでの昼飯で始まり(もちろん名古屋だから味噌カツを食った)展示をみながら偉い人がいろいろ説明してくれて(最終での面接官だった)、基礎研究所に移動した後は、たかが俺一人に対して部長級の方が二人も時間をとってくれ、さらに若い人を5人も呼んで案内してくれ、最後にはめちゃめちゃうまい日本食屋で晩飯をとり、名古屋で一泊と素敵な接待。もちろん採用担当の人は昼からずっと俺につきっきり。とても貴重な経験をさせてもらったし、デンソーは噂どおり半端ない力をもっていると実感した。ちなみに晩飯の時、向こうの人たちはてっきり真面目な研究の話にでもなると思っていたらしいが、俺は基本的にそういう場では世間話が好きだから、全然その辺の話は振らなかった。まあ実はけっこう面白い研究をしている若手の人が横に座っていたので、彼の研究の話だけでもそうとういけたとは思うけれど。別れ際に、もっといろいろ難しい質問されると思って心の準備をしていた、と言われたのでちょっと申し訳なく思ったが、まあ入社したらいろいろ話は聞けるだろうと思っていたので、そのくらいでちょうどいいかな。

住友さんは俺の直接の上司になるであろう方が二日かけて、愛媛の事業所や横須賀の研究所の案内をしてくれた。ついでに二日目には最終(3次)面接もやったのだが、まあ、顔合わせに近いものだったかもしれない。国内の学生が受験する場合は俺が二次面接で会った人事本部長の人が最終面接官らしく(そりゃそうだ)、ある意味、二次を通過した時点で合格みたいなものだったらしい。必ずそうであるかはわからないが、少なくとも俺の場合は。愛媛では自分の先輩になるであろう人も合流してくれて(たまたま愛媛で実験をしていたらしい)他に二人の素敵で仕事ができそうな女性も加わって5人でわいわいと日本料理屋で酒を飲みながら食事をしたのだが、これがまた楽しかった。一人の方はそこの事業部の人事の人だったから、彼女はいろいろ事業部の質問をされるとか思っていたらしいのだが、デンソーの時と同様に、俺は難しい話は無しの方向で勝手にくっちゃべった。久しぶりに日本語で全力で会話ができて本来のくっちゃべる能力を発揮できた気がする。まあ留学生というのは珍しい生き物らしいから、みんな俺の人生になかなか興味を示してくれていたからまあ楽しんでもらえたと思う。

安川さんの見学は正直なところ、まあまあだった。わざわざ羽田で一泊して朝6時の飛行機で北九州まで行ったのに、見学は11時に始まり2時には終わってしまった。1時間くらい、展示の見学をしたのだが、案内してくれたのは、普段案内役をしているおばちゃん。だからもちろんロボットすごいでしょ~かっこいいでしょ~のレベルの会話だけで、それ以上の突っ込んだ話はあまりできず。一応、側に研究所の人が一緒にいてくれたのだが、おばちゃんの存在がちょっと邪魔になり、難しい話は禁止な雰囲気を醸し出す。それが終わって、次は昼飯(そこそこの弁当。弁当は住友さんのほうが遥にうまかった)をしながら、去年9月入社したボストン組(つまり俺みたいな留学経験のある学生)の人が一人と、その人の上司が一人、それから人事の人が二人で、まあ俺が質問してむこうが答えるといった感じ。といってもさあ弁当を食うか~という雰囲気から、急に4人の人間と向かい合って、さあどんどん我々に質問してよ!みたいなことを言われても、いきなりまともな質問が頭に浮かぶわけでもないんだよな~。確かに見学をしたいと言ったのは俺だから、むこうからしたら余程いろいろ話を聞きたいのだと捉えられたのかもしれないけど。どっちかというと、研究所を見せながら、うちはこういうことをしてるんだ~とか、こういう雰囲気で働くのはどうよ?とか聞かれながら、少しずつ、こういう状況ではどういう問題が出ますか?とか、そういや特許に関してはどういう決まりがあるんですか?とか、いろいろ質問が出てくるものなんだよね。少しも生きた研究開発の空気に触れられなかったから、俺は意気消沈して、新幹線で東京に帰った。

ちなみに、もちろんどこの企業も研究開発に関しては、見せれるものと見せられないものがあることは分かっている。しかし、素人の俺が見ても何がなんだかわからないわけだが。デンソーだってウェブサイトで見せてる内容の研究しか見せてくれなかったしね。たとえば自動運転の研究開発なんて全く触れることもなかった。まあこちらから聞けば、少しは教えてくれたかもしれないけどね。どうせ俺は専門外だから、ふ~ん、で終わるだろうけど。

ちなみに東レは2時面接で落ちた。面接官の人と馬が合わなかったというか。まあ俺の研究内容もたいしたことないからね。けっこう専門がかぶるから、しょぼさがばれたのかもしれん。東レリサーチセンター(TRC)のほうで志望を押していれば、もしかしたら最終面接までいけたかもしれんけど。いや、まじで、分析力にはかなり自信あるんだが、化学の新素材の研究を俺がやりたいと言っても、むこうはピンとこないだろうね。仕方ない。TRCの社長さんと部長さんは、ほうほう、と興味を持って俺の話を聞いてくれていた気がする。ただ二次面接ごときで社長が出てくるところが、俺は少し気になったわけだが。やっぱり子会社だからなのか。

住友とデンソーで十分面白そうだと感じたから、日立製作所の2次面接は断った。でかい強い会社で働くならデンソーで十分だし、少し小さめで、でも楽しくやるなら住友重機械でじゅうぶんだと思ったからだ。もし日立に採用されたら、心はかなり揺れ動いただろうけれど、それは単純に日立という世界トップの会社のネームバリューに惹かれてのことだと思う。俺、そもそも電機系はそこまで興味なかったし。まあ車に興味があったわけでもないのだが。ということで住友さんに入社することに決めた。ちなみに10月から働き始める予定である。今は9月までに卒業できるように、必死に博士を終えようとしている最中である。

11 comments:

  1. ブログ、拝見させていただきました。
    アメリカ留学、物理、博士、就職活動等々、僕の境遇と似ている所があって、色々と参考になりましたし、読んでいて楽しかったです。
    残りのアメリカ生活、どうぞ楽しんでください。そして、新しい日本での第一歩が素敵なものになりますように。

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  2. ブログ参考になります。役に立ってます。
    自分は今学部4年目でロサンゼルスキャリフォーラムに参加して次はボストンに行きます。
    理系でなく文系だから少し違うところはあれど、応募している会社が結構似ています。
    東レとか住友重機械工業とか。
    もしかしたら未来の先輩になるかもしれないですね(笑)

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  3. とらさん

    参考になると言っていただいてありがとうございます。まさか二人も役に立てるとは。ブログをやっておいてよかったです。

    もうすぐボストンですね。頑張ってください。元気と熱意を全力で表現できれば、喜んでくれる人事の方は多いので、緊張した空気に押されず、笑顔で乗り越えられるといいですね。去年ボストンに行った時は、多くのひとの表情が固かったことを思い出します。あと、ボストンは寒いので、寒さ対策は忘れずに。

    いろいろあって、来年の一月から住友重機械に入社することになったので、興味があったら質問してください。ご縁があって同じ会社で働くことになったら、ぜひ一報ください。

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    1. 企業研究だの自己分析だの偉そうな言葉を使ってますけど、最終的に働いていて気持ちがいいかでどこ行くかが決まるのかもしれないですね。

      東レと住友重機械ですが筆記試験はありましたか?
      数学/算数については6年まともにやってなくて自身がないです。(SPI参考書は一通りやった)
      よかったら東レと住友重機械以外で筆記があったところがあれば教えてください。

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    2. とらさん

      誤解がないように言っておきますが、企業研究と自己分析は基本です。それなしでは土俵にもあがれないかと。努力とやる気をいかに表現するかが勝負の決め手だと思います。あとは、この会社だったら楽しくやれそうだな、と感じるところに行けることを願うばかりですね。まあ人事の人と気が合っても、実際の職場の上司や仲間と気が合う保証はないですけどね。

      東レは二次面接後に筆記試験がありました。SPIの参考書をやったのならば問題ないのでは。私は全然準備してなかったのでちょっと困りましたが。

      住友重機械は筆記試験は確かなかったと思います。

      他に、デンソーと日立製作所はSPIがありましたが、確か事前にオンラインで受けましたね。ボストンの後で筆記試験があったのは東レだけでした。

      ところで、全社の面接で質問されたことがありまして、それは「もし二社以上からオファーがきた場合、最終的にどこの企業にしますか?」というものです。きちんと答えられるように準備をお忘れなく。

      ちなみにとらさんは、どういった職種に興味があるのですか?

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    3. 企業研究と自己分析についてある程度行うのは当然ですね(ある程度がどこまでのことなのか難しいですが)。補足ありがとうございます。

      最終面接でされる質問についてですが、ちゃんと考えていませんでした。今週末のキャリアフォーラムまでにどう答えるか決めておこうと思います。今のところは内定をくれた会社の自分が勤務するであろう職場に訪問してなじみやすそうかや休みはちゃんととれるのかで決めようと思っています。ボストン経験者からの生の情報ありがとうございます。

      筆記試験についても情報ありがとうございます。自分はちょうど日立製作所のウェブ筆記試験を受けました。言語は楽でも数理がボロボロです・・。東レにはメールで伺って、ボストンでの1次面接通過者に日本でSPIを受けてもらうとのことでした。

      自分は営業または商品企画を希望しています。

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    4. 私の場合は研究職を希望していたせいか企業研究はあまり大事ではありませんでした。営業とか商品企画となると、ちょっと話は別かもしれないですが。素人考えですけど、自社や他社の特徴をきちんと捉えるというのは、仕事の上でも大事な気がします。我々エンジニアとなると専門知識のほうが大事ですが。

      質問されるのは、最終面接でなく一次面接ですよ~。ちなみに私もとらさんと同じようなことを言いました。研究所の見学をした上で決めると。住友重機械や安川電機のように、超巨大でない企業の方々にはいい反応をもらえた気がします。日立製作所とか東レじゃなくてもいいの?みたいな感じです。勝手な想像ですが、日本の学生はおそらくネームバリューを重視する傾向にあるのでは。

      もう考えているかと思いますが、なじみやすそうな職場とはどういうものかもきちんと説明できるといいと思います。自己分析につながるものがあるかと。

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    5. 最終でなくて一次面接でその質問をされましたか。自分はロサンゼルスキャリアフォーラムでいくつか一次面接を受けましたがどこにもされなかったです。ちなみに5社受けて全部落ちました・・。(涙)

      6つの項目にわけて企業を評価するシートを作りました(ちなみに評価項目に企業規模はいれてません)。職場訪問をして働きやすそうかは評価項目の1つにするとして、6つの項目の合計スコア(各項目1~3で評価)で志望度を分けようとしています。その項目は事業分野、働き方、企業方針/実行案、新事業へのサポート、労働条件、働きやすさです。

      そもそも自分が1つでも内定をとれるのかが怪しいです(´・ω・`)

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    6. ボストンはLAに比べると参加している企業の数にすごい差があるので、このての質問はよくされるみたいですよ。

      今は日本の雇用は回復してきているみたいなので、去年ほどではないにしろ、今年もチャンスはあるんじゃないでしょうか。ボストンはとにかく参加企業数が多いので、いろいろ暇そうな企業のブースに寄るのもお勧めかと。やはりみんな大企業にばかり応募するので、けっこう小さめの企業とか、大きいのに学生には知られていない企業とかもあるみたいですしね。

      いよいよですね。がんばってください。

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    7. 面接予約を18個いれてるのでスケジュールは結構ギリギリです。
      2次面接が入らなければ3日目に余裕があるかなあという感じですね。

      内定なんて取れないのが普通だと思って当たってみます!

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  4. Anonymousさん

    コメントありがとうございます。楽しいと言ってもらえてとても嬉しいです。誰か一人、参考になった、と言ってもらえればいいかなと思って始めたブログなので、Anonymousさんのコメントには励まされました。就職活動は終わってしまいましたが、これからは日本での仕事のことなどを書いていこうと思います。

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